「温かい物 食べてほしい」

February 17, 2017
「温かい物 食べてほしい」

駅地下広場で食事を振る舞う「駅北食堂」のメンバーたち(写真提供=グループ駅北食堂)

JR富山駅北口の地下広場では、毎週月曜日、富山教会(富山市)の信者や地域の人たちが炊き出しを行っている。その名も「駅北食堂」。信者のメンバーは、地域の人々と共にこの「食堂」を運営することを通して、学び、喜びを感じているという。


「駅北食堂」のメンバーは、毎週月曜日の午後、富山教会のはす向いにある幼き聖マリア修道会富山修道院の「祈りの家」に集まり、約20人分の食事を調理している。


1月30日の献立は、肉団子の酢豚風、ごはん、おひたし、ゆずみそ。これに、おにぎり2個と、フードバンクからのパン。


メンバーが富山駅に着くと、常連数人が準備を手伝ってくれ、広場のベンチで午後5時に〝開店〟。やってきた十数人、一人一人に出来たてを手渡し、話をして、ひとときを過ごす。


利用者は、路上生活者が2人、他は、障がい者や高齢者、失業中の人たち。「去年は福島へ(原発関係の仕事で)行ったが、(そこで長くは働けないので)次は名古屋へ働きに行く」と言う人、競馬やパチンコを続けるために、生活保護を受けない人もいる。


メンバーの川崎紀子さん(74/富山教会)には、忘れられない会話がある。コンビニで窃盗を繰り返したある利用者に理由を聞くと、答えは、「おなかがすいたけれど、お金がないから」。衝撃を受けた。最近の富山市議会を巡る政務費の不正使用問題が頭をよぎり、「世の中の矛盾」を痛感した。


利用者が亡くなり、「どう関わったら良かったか?」と自問することもあった。広場を通る人の中には、「あなた方がこの人たちを駄目にする」と非難していく人もいる。それでも活動を続けるのは、「温かい物を食べてほしいという気持ちから。仲間もあったかいし、みんな月曜が楽しみ」だと川崎さんは言う。


これまでのメンバー約15人は、日本の他、イタリア、インド、フィリピン、米国など多国籍。ベトナム出身のアン・ティーさん(28/富山教会)は、「料理が好きで、日本の料理も教えてもらいます。おでん、カレー、天ぷら…。おばあさんやホームレスの方たちは、『おいしいです、ありがとう』と言ってくれます。日本に親戚いないから、家族みたいでうれしい」と話す。



地域と教会が協働


「食堂」の始まりは6年前の1月。メンバーでもある、幼き聖マリア修道会のジュリアーナ・アランナ修道女(55)が、長く人権問題に関わってきた堀江節子さん(68/富山市在住)に、こう打ち明けたことがきっかけだった。


「地域の人のために何かしたいけれど、外国人の私では(自信がない)。何をすればいいか…」。自分の宣教に確信を持てない時期でもあった。


堀江さんの案内で、地下広場にいる路上生活の人を訪ねた同修道女は、翌日、初めて自分で作ったおにぎりを持って再び広場へ。以来、メンバーを増やしながら、70人以上の利用者と出会ってきた。


ジュリアーナ修道女は、メンバーの働きぶりに感動して、こう話す。「渡す食事を入れるために、きれいな紙袋を集めておいたり、高齢者のために食材の固さに気をつけたり。いのちを大切にするということを、私が学んでいるんです」


メンバーとして活動を支えてきた堀江さんは、この「食堂」は、同修道女の願いから始まり、「地域と教会」の人たちの協働で続いていると言う。


リーマンショックが起きた2008年末、都内に「年越し派遣村」が開かれたことを受けて、富山でもホームレス支援が動き出し、14年、「フードバンクとやま」も発足した。「食堂」は、「そうした地域の人たちの活動の上に成り立っている」と堀江さん。


川崎さんは、「(利用者には)『アーメン会』なんて言われたりしますが、今まで4人が富山教会のミサに来てくれたんです。教会のことを知りたいと思ってもらえたことが、うれしいですね」。

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