【映画】『オリーブの樹は呼んでいる』

May 10, 2017
【映画】『オリーブの樹は呼んでいる』

(C) Morena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Película A.I.E

聖書にたびたび登場し、実が聖香油の原料にもなるオリーブは教会にとってなじみ深い植物だが、今スペインやイタリアでは、古いオリーブの樹の売買が問題になっている。新約聖書の時代から根を張ってきたような樹が引き抜かれ、環境への優しさをアピールしようとする企業や、目を引く装飾として自宅に植えようとする人々に売られているのだ。

本作の主人公アルマは、スペイン東部の町の養鶏場で働きながら不況下を生きる20歳の女性。難しい性格だが、オリーブ園を営む祖父とだけは幼いころから深い絆で結ばれていた。しかし、その祖父が神聖な預かり物として次代に受け継ごうとしていた樹齢2000年のオリーブを父親が売ったことを機に、祖父は言葉を発しなくなり、ついに食べることもやめてしまう。

祖父を救えるのは、あのオリーブだけ。そう直感したアルマは、うそ八百で丸め込んだ叔父と同僚を道連れに“ドイツへ売られた樹を取り戻す旅”に出る。その破天荒さは、スペイン文学『ドン・キホーテ』をほうふつとさせるが、舞台は現代。3人がトラックで目的地に着くよりも早く、祖父と孫娘のストーリーはソーシャルネットワーク(インターネット上のコミュニケーションサービス)を駆け巡っていく。

家族の暗い記憶を抱え、自分自身は破滅的。それでも唯一、信じることのできた祖父に全てをささげようとする主人公を、イシアル・ボジャイン監督は「大自然が持つ力」と表現する。アルマの無謀なミッションは、思いもよらないかたちで家族に和解と希望をもたらしていく。

5月20日からシネスイッチ銀座(東京)でロードショー、他全国順次公開。公式サイトはこちらで。

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