熊本被災地にクリスマス・プレゼント

January 13, 2017
熊本被災地にクリスマス・プレゼント

益城町の人たちと。写真手前左が片柳神父

熊本地震からおよそ8カ月が経過し、被災地で初めてのクリスマスを過ごす避難者を励ましたいと、旧冬12月23日、広島教区の宇部・小野田ブロック(山口県)の信者たちが、熊本・益城町の仮設住宅団地を訪ねた。現地を訪問したのは、宇部・北若山・高千帆の3教会の信徒と司祭の計16人。クリスマス・プレゼントを手に、仮設住宅を一軒一軒回る中で、精神的に深い傷を負った被災者への継続的な支援の必要性をあらためて実感したという。


現在、熊本地震の被災地には約4千3百戸の応急仮設住宅と1万2千戸以上の「みなし仮設住宅」(行政が借り上げた民間賃貸住宅)がある。熊本は、九州北部豪雨(2012年)、熊本地震と災害が続く。中には、福島で東日本大震災(11年)に遭い、避難先の熊本でも被災したというケースもある。


これまで宇部・小野田ブロックの信徒や司祭たちは幾度も、公益財団法人熊本YMCAを通じて熊本地震の被災地を訪問し、支援物資の提供やボランティア活動を続けてきた。また同ブロック内の複数の教会が募金活動を行い、被災児童を受け入れる夏のキャンプなども積極的に行ってきた。


こうした活動を支えているのは、「『なぜ私がこんなひどい目に』と思うほど不条理な出来事によって傷ついた心を癒やせるのは、『なぜこれほど親切にしてくれるのだろう』と思わせるほどの愛だけ」という信念だ。


今回も信徒と司祭は、山口県から車4台に分乗して熊本県入りした。益城町で開催したクリスマスイベントは、盛りだくさんの内容だ。仮設住宅の個別訪問を手始めに、木谷仮設住宅団地集会所での「おしゃべりカフェ」。また、益城町情報交流センターでは、同ブロック担当司祭の片柳弘史神父(イエズス会)がマザー・テレサ(コルカタの聖テレサ)をテーマにクリスマス講演会。さらに、兵庫・神戸市在住の音楽家こいずみゆりさんによるミニ・コンサート。そして、御船町スポーツセンターでのマザー・テレサ写真展。


これらはすべて、震災直後から復興支援に全力を尽くし、現在は仮設住宅の管理を行政から委託されている熊本YMCAの協力によって実現したものだ。



孤独な高齢者たち


宇部教会の信徒で民生委員を務める河野洋子さんは、仮設住宅を一軒一軒訪ねてクリスマス・プレゼントを配った時の感想を次のように語った。


「一人暮らしのお年寄りが多いのに驚きました。足腰が弱って外に出ることもままならず、すき間風の入る部屋の中でじっとしておられる様子。継続的な見守りが必要だと感じます。電気がついていないので『留守かな』と思いながら呼び鈴を鳴らすと、中から一人暮らしの高齢者が出てくることもありました」


プレゼントは、宇部名物のまんじゅうや山口銘菓のういろう、手書きのクリスマス・カードなど、4百人分を用意した。熊本YMCA職員として仮設住宅の管理にあたっている山本誠司さんはこう話す。


「部屋に閉じこもって誰とも話す機会がない方も多いので、こうして一軒一軒声をかけて回っていただけるのはとても助かります。(教会の)皆さんの笑顔が、とてもうれしいプレゼントでもあります」


長年住み慣れた家や、住宅ローンで建てたばかりの家を失ったことで、精神的に深い傷を負った人、また喪失感に苦しむ人も多く、物心両面の復興への道はまだまだ遠いのが実情だという。


一方、仮設住宅団地の集会所では「おしゃべりカフェ」が催され、そこでは、コーヒーなどを飲みながら交流も行われた。


松葉づえで参加した高齢の男性は「震災とか仮設住宅というのは、遠い世界のことだと思っていた。まさか自分が今年のクリスマスを仮設住宅で迎えることになるとは」と、胸の内をしみじみ語った。


高齢のある女性は「つらいことが多い一年だったが、最後にこうして楽しいクリスマスを迎えられて本当によかった」と話し、また別の被災女性は「震災がなければ、(片柳神父の)講演会に来ることもなかったでしょう。結果として、これまでの人生で最高のクリスマスになりました」と感謝していた。


「苦しんでいる人がいれば、放っておくことはできない」という一心で世界中を駆け回ったマザー・テレサ。その愛の教えは、熊本の人々にも伝わったようだ。

「食べられるものとなられた方の思い」
みことばの黙想  6月18日
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