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みことばの黙想

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「天の父の子となるために」
2月19日
年間第7主日
マタイ5・38-48
「天の父の子となるために」

(文:中川博道神父=カルメル修道会/カット=高崎紀子)

宇宙の始まり「ビッグバン」が注目されはじめた頃、ラジオ番組のパーソナリティーが、「ビッグバンのことを考えると、私たちはみんな、もとはひとつだったんだよね」と呼びかけていたことがあって、その何気ない人類発祥の温かいイメージが、心のどこかにいつも残っています。

現代科学では、私たち地球上の現生人類は遺伝子的には、99・9%一緒だといわれます。世界中で人間同士どのような違いがあっても0・1%未満のことです。また、現生人類は母方の家系をたどると、約12~20万年前に生きていた一人の女性にたどりつくという「ミトコンドリアイブ」学説などは、全人類が、真に兄弟姉妹であることの思いを真実のものにしてくれるように思います。

それでも、私たちは人をつい敵のように思ったり、善人、悪人と分け、自分とは異質のものにしてしまう弱さを抱えています。

「悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」天の父の、人への深いかかわりを体験したアビラの聖テレジアは、人間をお城に見立てて、その中心に神が住んでおられるというイメージで書いた『霊魂の城』という本の中で言っています。大罪を犯した人、すなわち悪人の現状は、「これよりも濃い闇、これ以上、暗く、黒いものはありません。つまり霊魂にあれほどの輝きと美を与えていた太陽は相変わらず霊魂の中心にとどまっていられるのに、まるで存在しないのも同然になったのです。とはいえ、彼にはいと高き神を楽しむ力がありますのに…。ここで注意しなければならないのは、この泉、あるいは、霊魂の中心にあるあのきらめく太陽は、少しも輝きや美しさを失わないということです」(参照:『霊魂の城』第一の住居2章)。聖テレジアの協働者となった十字架の聖ヨハネも「この世における最悪の罪人であっても、神は実際にその中にひそかに隠れ住んでおられ、それがなければ人は存続することさえできない」といいます。これらは、二十一世紀の現代に向けてたてられた、二人の教会博士の力強いメッセージです。

天の父は、すべての人々の中に、人種を超え、宗教を超え、あらゆる違いを超えて、内から太陽であるご自身を輝かせ、尽きることのない泉として潤しておられるのです。

今日の福音をとおしてイエスは、二十一世紀を迎えて、分断が表面化し、お互いが孤立して疑心暗鬼になりがちな時代に、この原点に立ち返るようにと、切に呼びかけているように思うのです。

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