宗教者、「共謀罪」考える

April 27, 2017
宗教者、「共謀罪」考える

集会後は参議院議員会館の前で祈念行動を行った

「戦争する国」に反対する宗教者第3回緊急集会(主催・平和をつくり出す宗教者ネット)が4月21日、東京都千代田区の参議院議員会館で弁護士の米倉洋子さん(日本民主法律家協会事務局長、共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会事務局長)を講師に迎えて行われた。テーマは「共謀罪と内心の自由」。与党が成立を急ぐ「共謀罪」の問題や、この法律が信仰者に与える影響について、宗教者ら60人で学び、考えた。

「共謀罪」は、犯罪を実行しなくても、犯罪の実行を“話し合っただけ”で処罰できるようにする法律だ。「共謀罪」を盛り込んだ法案が、すでに3度廃案になったことを踏まえ、政府は「共謀罪」の構成要件を絞って名称を「テロ等準備罪」に変更。これを盛り込んだ「組織犯罪処罰法改正案」が3月に閣議決定され、政府与党は5月中の法案成立を目指している。

米倉さんは、「共謀罪」も「テロ等準備罪」も趣旨は同じなので、「共謀罪」の名称を使うと前置きし、この日の講演を始めた。


信仰への影響

「共謀罪」は、広義の刑法であり、国家が国民の生命や自由を強制的に奪うことを可能にする「強力な権力」行使だが、以下のように多くの問題がある。

(1) 日本の刑法は、近代刑法の原則にのっとり、「必要最小限度」を重視。例外として、殺人などの重大犯罪で「未遂」や「予備」(実行の着手前の具体的な準備行為)などを処罰することもあるが、原則的に結果が発生した行為を犯罪とする。

だが、今回の「共謀罪」では、準備段階の対象犯罪が277に拡大され、何が重大犯罪の「準備行為」に当たるかも曖昧。(2) 「予備」にも至らない「共謀」「計画」といった内心や意志まで独立の犯罪として処罰対象となる。

また (3) 政府は「共謀罪」成立をテロ防止のためだとしているが、当初の法案には「テロ」の言葉は無く、口実ではないかとの指摘がある。(4) 処罰の対象になる「組織的犯罪集団」に当たるかどうかは、捜査当局の判断に委ねられ、実際は、市民団体や合法的団体も対象になる。

「共謀罪」の成立を政府が急ぐ理由について米倉さんは、「戦争する国づくり」を阻む市民や団体の運動を規制できる法制度を作っておくためだと説明。13年の特定秘密保護法、15年の「平和安全法制」、16年の刑事訴訟法・盗聴法の「改悪」の流れの延長にあると言う。「共謀罪」が一度でも市民に適用されれば、市民は権力に都合の悪い思想や活動に近づくことを自重するようになる。これが「共謀罪」が内心の自由を奪うと懸念される理由なのだ。

その上で、米倉さんは、戦争中に政府が宗教団体を弾圧した原因を分析。戦争をするために、人々の支持・服従が不可欠となる中、世俗と異なる価値観を持つ宗教者は為政者の脅威となり、弾圧の対象となった。このことからも、仮に「共謀罪」が成立し、「戦争する国づくり」が進めば、宗教者らの信仰内容という、権力に最も手を触れさせたくない内心の自由も監視の対象となるのではないかと語った。

集会後、参議院議員会館の前で祈念行動も行われた。

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