「報道に政府圧力」

June 15, 2017
「報道に政府圧力」

デビッド・ケイ氏

「日本のジャーナリストは政府の圧力を感じている」。国連人権理事会の特別報告者、デビッド・ケイ氏(法学者)は、「表現の自由」に関する日本での公式訪問調査を終えて、こう指摘した。このところ、政府と大手新聞との〝関係〟が世間の関心を集めているが、6月2日、東京・千代田区の衆議院議員会館内で開かれた集会(ヒューマンライツ・ナウ主催)でケイ氏は、日本国憲法21条によって「表現の自由」は保障されているとしながらも、「メディアの独立性」についての懸念を表明した。


集会でケイ氏は、「日本人のほとんどが知らない事実」として、第2次世界大戦後の放送規制機関の在り方を明らかにして、こう語った。


「戦後の日本には、政府から独立した放送規制機関がありました。しかしその後、連合国軍の占領下から独立した日本政府は、この放送規制機関を廃止して、政府の下にある総務省に管轄を移しました。これにより、放送規制の権限は政府に移ったので、政府がメディアの放送許可を中止・停止する可能性も出てくるわけです」


ケイ氏の広範囲に及ぶ調査では、多くのジャーナリストが「政府の圧力を感じている」と答え、中には「政府に対する批判的な報道はしづらい」と答えた者もいたという。さらにケイ氏は、日本のジャーナリストたちは、会社への忠誠心はあっても、ジャーナリストとしての連帯意識を持っていないことを指摘する。


これを踏まえ、ケイ氏は、メディアの独立性強化のために、政府に対して、政府が放送局の表現の中身にまで踏み込んでいる放送法4条の撤廃を勧告した。


毎年、NGO(非政府組織)国境なき記者団は「世界報道の自由度ランキング」を発表しているが、2017年、日本は180カ国の中で72位。アジアでは台湾(45位)、韓国(63位)、モンゴル(69位)に次ぐ4番目の順位となる。日本の順位が低い理由は、3年前に施行した「特定秘密保護法」に起因する。


特定秘密保護法は、日本の特に安全保障に関する〝重要情報〟を「特定秘密」として管理し、漏えいした者を処罰する法律。しかし、ケイ氏は、この〝重要情報〟が「公共の利益に資する情報」である場合、それを「公開した記者や政府関係者が処罰されないように、特定秘密保護法に例外規定を盛り込む必要がある」と指摘した。


ケイ氏は、今回、国連に提出した調査報告書の中身を日本国民が共有することによって、議論を行い、「表現の自由」を守る努力をしながら、民主主義社会を成熟させていくことが大事だと強調していた。

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