パリ協定離脱は「深刻な打撃」

June 9, 2017
パリ協定離脱は「深刻な打撃」

解けるアイスランドの氷河。ここでは観測を開始した1931年より1キロほど後退した(CNS)

【ワシントン6月1日CNS】米国のドナルド・トランプ大統領が6月1日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると表明したことは「深刻な打撃」だと、同国司教団正義と平和委員会委員長のオスカル・カントゥ司教は遺憾の意を表明した。


「聖書は被造物の保護と連帯のうちに互いの世話をすることの大切な価値を強調しています。パリ協定はこうした価値観を促進する国際合意です」とカントゥ司教(ニューメキシコ州ラス・クルセス教区)は、トランプ大統領がホワイトハウスのローズガーデンで離脱発表を行った直後に公表した声明で述べた。


「トランプ大統領の決断は米国と世界の人々、特に最も貧しい人や弱い立場に置かれている人々の共同体に危害を及ぼすでしょう」とカントゥ司教は、同大統領が米国は直ちにパリ協定から離脱すると表明したことを受けて強調した。


「気候変動の影響は既に、海面上昇や氷河の融解、暴風雨の大規模化、頻繁な干ばつの発生に表れています」と同司教は指摘する。「私がただ願うのは、大統領が地球の気候変動に対応する具体的な方策を提案し、環境保護の責任を担う意識を増進させることです」


トランプ大統領は、パリ協定が「気候に関わるというよりは、むしろ他の諸国が米国に対して経済的優位に立つためのものだ」と指摘している。


同大統領は自身が望むのは「公平な競争の場」をつくり、「最高の生活水準、最高の環境保護水準」を確立することだとしている。米国はシリアとニカラグアに続いてパリ協定から離脱する。


カントゥ司教は、パリ協定が温暖化ガス削減の唯一可能な方法ではないが、現在は実行可能な代替案がないことが深刻な懸念材料だと語った。


米国司教協議会と教皇フランシスコ、「全カトリック教会は一貫してパリ協定を支持し、環境保護の責任遂行を促進し、気候変動の防止を後押しするために重要な国際枠組みだと認めてきた」と同司教は強調した。



「石油業界のロビー活動に利する」


バチカンでは、トランプ大統領の決定発表前に、教皇庁科学アカデミーと同社会科学アカデミー事務局長のマルセロ・サンチェス・ソロンド司教が見解を示し、米国がパリ協定から離脱すれば、「あらゆる人にとって惨事となる」と指摘していた。


両アカデミーは、気候変動と教皇フランシスコの環境保護についての回勅『ラウダート・シ』による提案の実践についての研究の促進に従事してきた。教皇自身も5月24日、バチカンでトランプ大統領に『ラウダート・シ』を手渡していた。


サンチェス司教は6月1日、イタリアの日刊紙「ラ・レプッブリカ」に掲載されたインタビューで、同大統領と教皇、教皇庁高官との間で当然、気候変動についても重要案件として話し合われたはずだと語った。


「その意味では、大統領が本当に離脱を表明すれば、私たちにとっては顔に平手打ちを食らうようなものです」と同司教は危惧を表明していた。


オバマ前大統領にも責任はある、とサンチェス司教は指摘し、「オバマ大統領は大統領令だけで気候変動についての決断を下し、後継者が何もかも変えてしまう可能性を残しました。そこに問題があります。今では、たった1日でトランプ大統領がテーブルのカードを全部ひっくり返し、多くの人にとっての不利益をもたらし、石油業界のロビー活動に利することもできてしまうのです」と説明した。

「食べられるものとなられた方の思い」
みことばの黙想  6月18日
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