ホロコースト犠牲者を記念

January 22, 2016
ホロコースト犠牲者を記念
映画『サウルの息子』(C)2015 Laokoon Filmgroup
71年前の1月27日、ナチスのアウシュビッツ強制収容所(ポーランド)が解放された。国連はこの日を「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」に定めている。日本でも、関連の記念イベントがイスラエル大使館等の主催で1月14日、早稲田大学(東京)で行われ、映画『サウルの息子』が上映された。

イベントでは、ゲストとしてホロコーストの生還者で、武蔵野音楽大学(東京)教授のヤーノシュ・ツェグレディさん(78)が登壇。ハンガリー生まれのピアニスト、ヤーノシュさんは7歳の時、首都ブダペストのゲットー(ユダヤ人が強制的に住まわされた居住地区)に身を隠し、ホロコースト(大量虐殺)を生き延びた。

「両親は強制収容所に送られましたが奇跡的に生還しました。しかし、親戚の多くは虐殺されました。私がゲットーにいたのは数カ月。でもとても長く感じられ、迫害の記憶が今も残り、私の人生を根本から変えてしまいました。普段はそのことを考えないようにして、過去の記憶から距離を置くようにしています。常に未来を見据え、幸せなこと、善いことを考えるように生きてきました」

映画『サウルの息子』は、第2次世界大戦中のナチスによるホロコーストをテーマに、極限状態にあっても、人間としての尊厳を守ろうとした男の姿を描いた作品だ。今年の米国ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞を受賞した。

主人公サウルは、アウシュビッツ第二強制収容所で「特別労働班」として、同胞のユダヤ人の遺体処理をさせられていた。「特別労働班」は、ホロコーストの証言者となるため、3、4カ月後には殺される運命にある。

サウルはある日、ガス室で息子らしき子どもを発見する。ユダヤ教では、死者の復活のために火葬は禁じられている。サウルは、せめて子どもだけは、ユダヤ教にのっとり、土葬で正式に葬りたいと、極限状態の中、奔走するのだった。

ナチスによるホロコーストの犠牲者は600万人以上にのぼる。その中にはユダヤ人のほかに、ロマ民族、身体障がい者や精神障がい者、反ナチスの人々なども含まれていた。

「人間は、歴史から何も学んでいない」

ホロコーストの実態が筆舌に尽くしがたいものであると語ったヤーノシュさんは、若者へのメッセージとしてこう話を結んだ。

「人間は、歴史から何も学んでいません。(二度と同じ過ちを繰り返さないために)キャッチフレーズや耳に心地よい言葉を、そのまま受け取るのではなく、一人一人が批判的な姿勢で、それが本当に正しいのかどうか、問うてみることが大事です」

イベントには、ナチスの迫害から6千人のユダヤ人を救った外交官、杉原千畝さんのひ孫、杉原圭佑さん(上智大学4年生)の姿もあった。

映画は1月23日から、東京の新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。

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