宮本神父に名誉称号

January 22, 2016
宮本神父に名誉称号
公開講演をする宮本神父 (C)John Cheeseburger
ドミニコ会は昨年、同会の中世から続く名誉ある称号「聖なる神学のマギステル」を、宮本久雄神父(同会/東京純心大学教授)に授与した。日本人では初。昨年11月23日、東京・渋谷教会で授与式と公開講演が行われた。

この称号は、長年教授を務めてきたドミニコ会会員の中でも、業績の卓越した学者に授けられるもので、1303年に教皇ベネディクト11世(同会)が創設した。聖トマス・アクィナスにも与えられている。

公開講演は、ドミニコ会の決まりに従い、宮本神父がマギステルとして初めて行う講演だった。宮本神父の専攻は聖書思想や教父神学、哲学で、東京大学や上智大学でも教えてきたが、公開講演では知的障がいのある人とアシスタントの共同体「ラルシュ」の創設者ジャン・バニエについて話した。

「ラルシュ」の活動は日本をはじめ世界各地に広がっている。宮本神父は、バニエが仲間たちと「お祝い」の場を設けるのを大切にしたと指摘する。

「それは『エウカリスチア』(感謝)の関係、つまり『コムニオ』(一致、交わり)の実践だと言っていい。日本では神学も哲学もまだ『輸入物』。だから神学や哲学に携わる人は、バニエのような実践に、常にアンテナを張っておくべきだと思います」

「物語り」に着目

宮本神父には「アウシュヴィッツ」に関する著述も多い。この強制収容所は人間を「無用化」する実験をしようとした全体的支配の試みだったと説明する。その試みは21世紀の今、「経済=技術=官僚機構」という全体主義的な機構を通して人々を支配していると指摘する。

その結果生み出されたのは原子力の利用と巨大科学、そして虚無だ。人間らしい生と死をも奪う危機的な状況が出現する中で、宮本神父は「物語り」に着目する。「物語り」は他者の真実に関わる記憶などを取り返す実践であり、「学問と社会をつなぐ大きな懸け橋」にもなり得ると語る。

宮本神父の目が社会に向かっているように、これまで「聖なる神学のマギステル」の称号を受けた神学者たちも社会との関わりを重視してきた。例えばアメリカ大陸先住民の人権を擁護したフランシスコ・デ・ビトリア(16世紀)や南アフリカの人種差別に反対したアルバート・ノーラン神父、労働司祭の運動を神学的な立場から支援したドミニク・シュヌー神父などだ。

「大切なのは、知的生活と実践的な生活の調和です」と、宮本神父は話していた。
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