原発事故、「区域外」の現状聴く

May 26, 2017
原発事故、「区域外」の現状聴く

集会「福島原発事故から6年~避難者の今、真実の声を聴こう!~」

東京教区麹町教会の「メルキゼデクの会」と「きらきら星ネット」は5月5日、東京・千代田区の同教会で集会「福島原発事故から6年~避難者の今、真実の声を聴こう!~」を開催した。集会には100人が参加。福島原発被害東京訴訟原告団の証言や関連映画を通して、「区域外避難者」(政府の避難指示が出ていない区域の自主避難者)の現状や、避難先でのいじめ問題について情報を共有した。

福島原発事故をめぐっては、現在1万4千人の原告が、国と東京電力の責任の所在と補償をめぐり全国で28の裁判を行っている。そのうちの一つ、福島原発被害東京訴訟の原告団団長の鴨下祐也さん(48)を主人公にしたドキュメンタリー映画『終の住処を奪われて―福島原発被害東京訴訟』(遠藤大輔監督)が完成し、集会第1部で上映された。

東京で避難生活を送る鴨下さん一家の自宅は、福島県いわき市にある。いわき市は「避難指示区域外」(以下、区域外)で、現在、政府からの補償は全くない。しかし実際の空間線量は生活上の安全基準値をはるかに超える高さ。また放射線管理区域の「4万ベクレル/㎡」を基準にしても、鴨下さんの自宅の庭は、26万ベクレル/㎡」。除染を繰り返しても“安全値”になることはない。しかし、国も行政も「区域外避難者」に帰還を求めている。

政府の避難指示は、空間線量に基づいているが、飛散したセシウムによる土壌汚染は300キロ以上の範囲に広がっている。映画は、いわき市など「区域外」という理由で補償の対象外になっている「自主避難者」の現状と、原発被害の実態を克明に描く。

本作の監督を務めた遠藤さん(ビデオジャーナリスト)はこう訴える。

「原発は国策で全国に54基もあります。私たちはいつ福島の人々と同じ立場になってもおかしくありません。そして原発事故は一過性のものではなく、一度起きれば汚染は何十年と続きます。そういう社会に私たちは暮らしているということを見据え、避難者に学び、共に闘うつもりで映画を広めたいと思っています」

また鴨下さんは、183人の小児甲状腺がん患者のうち、8割以上が「区域外」で、多い順に郡山市、いわき市、福島市であることを指摘。「本当の問題は『区域外』にあります」と話し、今年3月末、国と福島県が「区域外避難者」に対する避難用住宅の無償提供を完全に打ち切ったことについて「国の責任放棄だ」と訴えた。

集会の「第二部:現在の課題」では、東京訴訟の弁護団共同代表の中川素充(もとみつ)弁護士が登壇し、原発避難者集団訴訟の前橋地方裁判所の判決を紹介した。3月17日の同判決は、「東電は巨大津波を予見しており、事故は防げた」として、東電および安全規制を怠った国の賠償責任を初めて認めた。今後は、この判決の不十分だった点を強化し、全国の裁判と連携しながら全面勝訴を目指していく。

さらに東京災害支援ネット事務局長の山川幸生(ゆきお)弁護士は、東京・千代田区の学校で起きた「避難者へのいじめ問題」を取り上げ、こう話した。

「政府は『区域外避難者』は避難する必要はないと言っています。こうした大人社会の無理解が子どもたちに影響し、いじめの風潮につながっていく。学校や教員がきちんと原発問題について教育すれば防げるはずだ」と学校の対応を非難した。

会場からは「区域外避難者」が、「皆さんが福島に行っても、問題は目に見えるものではありません。無理やり故郷を追われた避難者の言葉から福島の問題を理解し、被災者につながってほしい」と声を上げる場面もあった。

今後は、より多くの人が全国の裁判を傍聴し、またDVD等を活用して理解を深めていくことが求められる。

映画の上映および、DVD(販売価格1000円/上映権付き5000円)に関する詳細は、電話03-5363-0138(オアシス法律事務所内)まで。

この記事を読んだ人は次の記事も読んでいます

「食べられるものとなられた方の思い」
みことばの黙想  6月18日
Play Now
再生できない場合は、ダウンロードしてお聞きください