FMわぃわぃ、新たな歩み

February 5, 2016
FMわぃわぃ、新たな歩み

昨年1月16日、震災20年記念の集いの前夜祭に集まったボランティアや局関係者らで撮影

1995年の阪神淡路大震災後、「多文化共生のまちづくり」を目的として、神戸・たかとり教会の敷地内に拠点を置いて活動してきたNPO(特定非営利活動)法人エフエムわいわいが、コミュニティ放送局「FMわぃわぃ」の地上波放送を3月末に終えると発表した。関係者は、「新しい道具」で次世代による新たなまちづくりに向かうと、意欲的だ。一方、FMわぃわぃの発表によって、日本の放送行政等の問題が浮き彫りになるという専門家の指摘もある。 同NPOは、「FMわぃわぃ」の正式開局から20年目に当たる1月17日付の文書で、3月31日に地上波放送を終え、放送免許を総務省に返すことを発表した。 文書は、神田裕神父(大阪教区)ら代表理事3人が出したもの。地上波放送を終える理由として、(1) 現行の電波法、放送法に則った地上波放送事業に「制限」や「金銭的・精神的な負荷」を感じてきたが、現在は、電波以外の手段で活動できるようになってきたため (2) 次世代が新たな多文化共生のまちづくりへ向かうための「環境を整える」必要を感じたため――などを挙げている。 代表理事の1人の日比野純一さんは、「私たち震災第一世代」には「やり切った感がある」とし、今後は次の世代が、今の時代に合った「新しい道具(インターネット)」でまちづくりに挑戦すると、意欲を見せる。 4月以降もインターネットによる放送は継続する。災害時には、神戸市と協力し、地上波で、臨時災害ラジオ局として放送を開始する予定だ。 同NPOは、大震災直後の「海賊放送」の時期から電波を活用してきた。子どもや障がい者、外国出身者など、声を上げにくい立場の人にマイクを向けることで、見過ごされがちな地域の現状や課題を10カ国語で発信してきた。 東日本大震災の被災地など、国内外で災害コミュニティラジオ放送局の設立にも貢献。働きは高く評価され、FMわぃわぃには、海外の放送関係者も視察に訪れる。 コミュニティ放送の役割 同NPOの文書を受け、コミュニティ放送に詳しい松浦さと子さん(龍谷大学政策学部教授・メディア論)は、日本の放送行政、制度環境の問題を指摘する。 一つは、特別な議論のないまま、コミュニティ放送が2011年の放送法改正でNHKなど大手メディアと同じ「基幹放送」の位置づけとなったことだ。基幹放送は社会的責任が増し、東日本大震災レベルの災害時にも自家発電で情報発信を続ける等の働きが自治体から求められるようになる。 自治体に対する「膨大な」量の書類提出も義務となり、「弱い立場の人たちの声を拾うために手間のかかる仕事に力を注ぐ」ことが難しくなる。 また、被災地や社会的弱者の多い地域など、コミュニティ放送が必要な地域の局ほど資金繰りに苦労するという現実がある。英国などには、地域づくりに対する明確な目標があれば放送免許が付与され、資金も援助される制度があるが、日本の場合は、経済的自立が開設・存続の条件になる。 コミュニティ放送は、地域の人たちに議論を促し、自らが問題の解決に向かう地域づくりのために有効なメディアだ。東日本大震災後、コミュニティ放送局は増える傾向にあり、現在、国内に297局ある。 しかし、中には、住民ではなく著名人の声を伝えるなど、番組の内容が大手放送局の“小型版”になっている局もある。局を支える地元有力者の影響も受けやすい。原発立地県のある局は、目の前で数千人規模の原発反対のデモが行われても、放送で一切、触れなかった。 「地域を支えるメディアを誰がどう評価し、支えていくのか」、多くの人に考えてほしいと松浦さんは言う。

「食べられるものとなられた方の思い」
みことばの黙想  6月18日
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